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謎の宇宙人の死体をめぐるSFミステリー。星を継ぐもの雑感

友人に薦められて読みました。有名なオールドSFというらしいです。 

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

 

月で謎の人間の死体が見つかり、死体の死亡時期を計算するとなんと5万年前に死んだことが判明した。この死体は一体何なのか。人類の科学者達がこの難題に一丸となって挑む。って話。

世界観が結構未来の世界観なのに微妙に現在と陸続き?感があって面白い世界観だった。特に情報インフラ周りはまんま現代って感じ。時々に出てくるコンソールもどこかアイポンのSiriさんみたいだった。これを凄く昔の人がSFとして描いてるあたり、面白い。現代の技術が空想の物語に追いついてきてるってロマンだなぁと。そんなちょっと先の未来ながらも出てくるキャラクターの日常生活は普遍的なところが多く、生活感を感じられるというか主人公に親近感が湧きやすいよう上手く作られているなぁと感じた。

肝心要の謎の方は結構ややこしくて話にあまりついていけなかったので最後のハントさんの解説とダンチェッカーさんの演説によって、やっとなるほどってなった感じ。それよりも個人的に好きだったのは最後のエピローグのくだり。まさかのKくんの持ち物が出てきてビックリした。

月や人類の起源説に残る謎を上手く伝奇モノのように引用しつつ、全く違和感のない理論でトンデモ理論に集約させて納得させられちゃうあたり凄かったけど、ガニメデ星人さんの最後がなんとも尻切れトンボなのが何とも言えない、超科学の存在はもっと出てきて欲しかった、てか続編あるんだったらそっちに出てくるんだろうか?

星を継ぐものというタイトルは中々良かったし、ダンチェッカーさんの言わんとしてることが、この作品の主人公達ともかぶり、上手いメタ構造になってる話だなぁとは思った(王立宇宙軍オネアミスの翼的な構造だなぁと、もしかするとオネアミスの翼自体この作品のオマージュかもしれんけど)、あまりに話が難しすぎて途中からついていけてなかったのが個人的に勿体なかったなぁという印象。