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私の好きなモノの感想を只管述べているだけのブログです。

それは諦めない漢と猫の物語!夏への扉雑感

おもしろい!!いや実に。 

夏への扉

夏への扉

 

友人に恋人を寝取られボロボロにされた挙句、自分の矜持までぶん取られてしまった哀れな漢ダニィくんと愛猫ピートの果てしない夏への扉を探す物語。

いわゆるタイムパラドックスネタなSF小説です。キャラクターが魅力的で良かったです。お人好しで隙しかないが紳士的なダニイボウイことダンくんと、そんな彼の頼りになる相棒ピート。裸族のジョン夫婦。そして我らがヒロイン、リッキィ!リッキィちゃんに関しては少し空気感半端無かったですが(笑)

ダンの夏への扉を諦めない不屈の精神が無茶苦茶カッコ良かったのと、2001年の世界をダニィの目を借りながら旅する話が凄いワクワクしました。何より彼の視点って凄いガジェット好きというか、どうやって動いてんだコレ!?って新しい玩具を手にする子供みたいに未来の世界のガジェットを見るから描写が分かりやすくて面白いのなんの。この辺はブレランの背景とか、AKIRAの背景見て妄想するのが好きな人は凄いワクワクできる所だと思います。しかも地味になんかありそうだなぁって納得させられるような地味な世界観が良い。ロボットが例外コマンドの時は首から下げたヘルプみたいなのを差し出すあたり余りに世知辛くて笑えました。

展開もダイナミックで、テンポも早くすっごい読みやすいし、物語の構造的にも凄い上手く作られており、未来・現在と行き来する彼の姿は愛猫ピートの夏への扉を探す姿に重なり、段々主人公がしがらみから解放され、純粋な戦士となり、自由のために東奔西走する姿は誰もが頑張れ!って応援したくなることうけあいでした。木偶の坊にされるまで少し鬱屈とした雰囲気で読むのが多少キツイですが、そっからは怒涛の展開で中々面白かったです。